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特に生活習慣病について

特に生活習慣病について

過食、食事の偏り、運動不足などの「生活習慣の乱れ」が長く続きますと、内蔵脂肪が増加したり、本来付くべきではない部分に脂肪が沈着(異所性脂肪沈着)し、糖・脂肪・血圧の異常が生じるようになります。これがいわゆるメタボリック症候群あるいは、それに準じた状態です。

しかし、生活習慣を修正するのは、決して容易なことではありませんので、そのまま持続し、動脈硬化が進行、脳卒中心筋梗塞、その他様々な重大な疾患が生じ、初めて後悔することになるのですが、手遅れな場合が多く見られます。 生活習慣病予防の難しさは、「痛くも痒くもない」時点で生活習慣修正や、内服などの治療を開始しなければならないところにあります。

生活習慣病予防の目的である「PPK運動」と、逆に沖縄の悲劇と言われる「26(ニーロク)ショック」について紹介させていただきます。これらには健康を維持するための大事な方法・ヒントが隠されていると思います。

PPK(ピンピンコロリ)運動

1980年長野県下伊那郡高森町で、北沢豊治が健康長寿体操を考案。3年後、日本体育学会に「ピンピンコロリ (PPK) 運動について」と題し発表したのが始まりとのことです。

いわゆる寝たきり、認知症などにならずに自分のことは自分でして、「ピンピン」とした生活をして人生を楽しみ、最後は苦しまずに「コロリ」と去っていく(天寿を全うする)ことを実現するための運動です。まさに理想の最期ですね。

どうしたら、そんなに上手くいくのでしょうか。国民健康保険中央会が80~85歳の健康老人に聞き取り調査をした結果より、「健康老人12ヶ条」を掲載します。

  1. 食事は1日3回規則正しく
  2. よく噛んで食べる
  3. 野菜・果物など食物繊維をよく摂る
  4. お茶をよく飲む
  5. たばこは吸わない
  6. かかりつけ医を持っている
  7. 自立心が強い
  8. 気分転換のための活動をしている
  9. 新聞をよく読む
  10. テレビをよく見る
  11. 外出をすることが多い
  12. 就寝、起床時刻が規則的

26(ニーロク)ショック

(我がファミリーが)沖縄に移住して感じたことの1つは肥満が多い事でした。スーパーへ買い物に行くと、たった2階へ行くのにも、皆がエスカレーターに並び、階段を上る人が非常に少ないことも印象的でした。町でラーメンを頼むと、関東人の私にも塩辛く、また油っこいのに驚きました。

沖縄で診療しますと、糖・中性脂肪がべらぼうに高値であったり、高血圧の受診者は珍しくありませんでした。

それらの原因の一つは食習慣のアメリカ化であり、ポークの缶詰、ハンバーグ、ステーキ、とにかく脂っこい食べ物大好き若者が激増したことがあげられます。

交通手段もマイカーが普及、自分の寝床から駐車場までしか歩かなくなったことも一つの原因です。

つまり、「長寿の邦沖縄」のおじい、おばあの生活様式とは180度変化してしまったのです。昔は盆暮れ正月、清明(シーミー)祭でもなければ豚肉は食べられず、質素な食事でした。暑い夏には葉もの野菜は少なくなり、ゴーヤー(苦瓜)や、ヘチマを食べました。そして歩いたのです。坂の多い島の道を歩いたのでした。

時は流れ、このような生活習慣は過去のものとなり、その結果、トップクラスであった男性の平均寿命が2000年に26位に転落し、県民は大きなショックを受けたのです。逆に働き盛りの男性の虚血性心疾患、脳血管障害による死亡率はトップクラスになってしまいました。

幸せ(?)なことに、好きなものを好きなだけ食べられ、幸せ(?)なことに、マイカーを持てるようになった結果生じた悲劇と言わざるを得ません。これが26ショックです。

さて、当院では、一律に「肥満は罪悪」といった指導、治療は致しません。ある程度の肥満であっても、若い時から運動をして体重変化が無く、データ上も正常であれば問題ありません。

一方、現在見た目はスマートで、BMI(体重を身長の2乗で割った指数)が正常でも、若い時に比べ増加し、データ上異常があれば、これは食事・運動を含めた治療対象となります。つまり、お一人お一人に適した個別治療を検討させていただくことになります。

また、生活習慣病予防の目的は、前述の如く「質の良い長生き」ですから、長続きのしない、禁欲的な「食事・運動療法」ではなく、それ自体を生き甲斐にし、楽しめるようなものにしたいものです。

どうしたら食事・運動療法を楽しめるのか、一緒に考えていきましょう。一生のおつき合いですから。

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